沙奈をベットに寝かせてすぐに病室をでた。

そしてドアを閉めた瞬間に、目の前に結衣がいるとも気付かずにしゃがみ込んだ。

「優希?!あんた入院って聞いたけどこんな所でなにやってんのよ!」

結衣は医大からの友達で心配性のしっかり者。そして…医者。

「あはっ笑)みつかっちゃった!」

「みつかっちゃったじゃないでしょ!ったく、ほら、熱計って!」

「え、病室戻ってからでいーよー!」

「良くない!明日仕事に復帰できなくてもいーの?!」

「やだ!」

「じゃあさっさと計る!」

だって…絶対高いもん!

体温計を脇に挟めることに躊躇していたとき、急に目の前が真っ暗になって息がしづらくなっていた。
気づくと発作が始まっていた。

私の視界に光が戻ったころ、私が背もたれにしていたドアが開いた。

ガラガラ

背もたれがなくなった私はドアの後ろに立っていた沙奈にもたれかかった。

沙奈は驚いた様子だったがすぐに先生を呼びに行くと言い出した。

さっき発作を起こしたばかりだということをしらない結衣は
「お願い!」
と言った。
でも私は一歩進んだ沙奈の足を掴み、
「ゴホ…だゴホゴホゴホ…ゲホめゲホ…ゲホゲホゲホ…ヒューハァ…ハァ…おえっ…さなっ、ゴホゴホさっき…ほっさゴホゴホ…ゲホゲホ」

続きを言おうとすると結衣が
「わかった。もう話さなくていいよ。それから、沙奈ちゃん、もう、大丈夫だからベット戻って?ありがとね!」

「…わかりました。先生、お大事に。」

「う…んゴホゲホゲホ…ぅ、ぅぅおえっ…ゴホ」

「ゆうきー?気持ち悪いー?今海人先生呼ぶからね!」

本当は迷惑がかかるから呼びたくなかった。でも今は、吐いてしまいそうで、心のどこかで海人を呼んでいた。

結衣が海人のケータイに電話するとすぐに出たようだった。

結衣が手短に説明をすると、どうやら近くに居たようですぐに海人が駆けつけた。