私は沙奈の所に行って吸入器を当てる。

「沙奈?優希だよ!わかる?!」

「ゲホ…ゲホ…せ…んせ…ゴホゲホ…」

「大丈夫、大丈夫!先生が助けてあげるからね?」

「ゲホ…う…ん」

「よし、じゃあゆっくり息吐いて~?」

「ふぅ~ゲホ…ゴホゴホ…ぅ~」

「よし、よし、上手い、上手い、じゃあ今度はゆっくり吸うよ~」

「ゲホ…すぅ~」

「落ち着いてきたね!」

「じゃあ病院運ぶよ?」

「うん。てか、先生なんでパジャマ?!」

「あ、あー!これね!なんでもないよー」

「もしかして、先生具合悪いの?顔色悪いし凄い汗、息も乱れてるんじゃない?」

この子怖いと思った。

医者でさえ、新人なら今の私の体調の変化に気づかないだろうな。

「何言ってんのよー笑)ったく病人はだまって寝るよ!…でも、沙奈…医者向いてるね」

「そーかな?!」

「うん!」

「じゃあ、私、将来お医者さんになる!優希先生みたいなお医者さんになる!」

「え?!私?!」

そう聞いて私は、沙奈を抱きかかえ歩き始める。

「だって、先生、急いで来てくれたでしょ?沙奈ね、先生きたときすんごく安心した!…せんせ…?」

「なした?具合わるくなってきた?!」

「ちがうの!笑)…ありがとね。」

「なによいきなりー笑)」

「本気だよ?」

「分かってるよ笑)」

医者としてこれ以上の喜びってあるのかな…患者さんにありがとうって言われる。これって最高だと思う。

そんなことを話してるうちに沙奈の病室に着いた。

私の体はもう限界だった。