何ヶ月か過ぎて
“さえちゃんいじめ”
は、みんなの
『娯楽』
みたいなものになっていた。

私の知っていた、さえちゃんの、あの屈託のない笑顔はいつの間にか消えていた。

少し、いい気味だとも思った。

(あたしを
『いじめられっ子』
に‘していた’子だからね!)

今の私はさえちゃんより上!

何もかも。


毎晩の楽しみは増えた。

以前は好きなアイドルのポスターを眺めては、会いたい、恋に落ちたい…と妄想にふけっていた。

でも、多分ね、絶対にそうなると思ったりしてる。
きっと、真美のことを見て恋に落ちたりするの。あの人気グループのアイドルだって。

案外、アイドルって言ったって、普通の子だったりするんだよねぇ…って、クラスの女の子たちも言ってたから。だから。
真美も、そう思うのよ。

クラスのかっこいい男子、人気のある男子とかと、そんなに変わるものでもないらしい。アイドルも。

(でも、真美の大好きなアイドルは格別だけど!!)