*真衣side* 「見てて、くれた?」 「あたり前、だよ」 「…ごめん楠木…いけると、思ったんだけどな」 耳元でする息継ぎの音に、ぎゅっと苦しさが増す。 「ごめん、心配させて…」 「心配くらいさせてよっ!」 「楠木…?」 「彼女、なんだから…」 また涙が出た。 「死なないで…っ」 真衣、とささやかれた。 桜庭くんの頭が肩にもたれる。 「…死なねーよ」 その瞬間、ぐったりとした重みが伝わってきた。