一夏の恋





「記念日どうする?」




いつもの帰り道。





「え、記念日?」





え?


え?ってなんだ?


女の子って普通こういうの
大事にするんじゃないっけ?




「もうすぐ一ヶ月だよな…?」



「翔ちゃんそういうの気にするんだ。」



笑われた。
考えてた俺がバカみたいで
少しむかつく。



「いや、なにもやんなくて
いいならやらないけど。」


少しむすっとした言い方に
なってしまった。



「やだ、おこんないで。」




急に泣きそうに顔を
ゆがめる姫咲。

そういえば、俺が不機嫌に
なったり、怒ったりすることは
今までなくて、はじめてのことだ。



びっくりしたのか?


それにしてもなんでこんなに
泣きそうなんだ…




「きさ。ごめん。
怒ってないよ。」


あやすように頭を撫でた。



「ちがうんだよ、きさも
記念日楽しみにしてたの。
けど、翔ちゃんそういうの
疎そうだから、だからきさだけ
そういう風に思ってたって
思われたら恥ずかしくて…。」



しどろもどろになりながら言う。



「わかったよ、大丈夫だから。
きさはなにがしたい?」




ほんとに妹に話しかけてるみたいだ。
いないけど。




「きさの家きて?」







ーーーっ。



それってどういう…?




「きさがごはんつくるよ。」









はじめての記念日は、
姫咲の家で、姫咲の手料理です。