「………………落ち着きましたか?」

どのぐらいそうしていたのだろう、不意に抱擁を解かれ執事に弱い部分を見せてしまったことに羞恥を覚える。

「お嬢様の気持ち、この木苺 林檎(きいちご りんご)しかと受け取りました。……我が身朽ちるまで、いつまでもお嬢様といることを誓いましょう」

根負けしたように告げる声は何処か優しくて温かくて、気付けば執事に口付けしていた。

「お、お嬢様……?」

身を捩り抗おうとする体を抱き締め、離れないよう腕に力を入れる。

「……コサージュのことはいいわ。それは、貴女にプレゼントするつもりだったから」

その言葉を聞き申し訳なさそうに俯く執事。

「……そんな、勿体ない・・・」

「ただし」

執事の言葉を遮り、真摯な眼差しで向き直る。すると執事も緊張したように此方を見た。