掃除をしている時になにかを踏んだ音が聞こえ、足元を見るとコサージュが壊れていたんです。
そこまで言うと紅茶を一口飲む執事。
すっかり冷めてしまった紅茶は、今の彼女達を表しているようで…
「…………そうだったの……」
申し訳ありません、再び謝ると急いで席を立ち部屋に戻ろうとする執事。それを慌てて止めようとすると林檎は寂しそうな、けれど意思のこもった瞳で言った。
「家宝を壊してしまった以上、いつまでもこのお屋敷にいることは出来ません。…………コサージュの修理代は給金から引いて下さい」
それでは、そう告げようとした時
−−パンッ−−
小刻みいい渇いた音が響き、檸檬は執事を睨んだ。

