「ごめん。
……それで、どうやって逃げたの?」


「下水道を通ってにげたんだよ。何人も逃げるとなると、一番効率がいいし、見付かりにくいだろ?」

彼は再び椅子に膝を立てて座ると、覚めた紅茶を一気に飲んだ。


「大変だったよ。どれだけ収容されているのかも分からないし…
だから勿論全員で脱出なんて無理な事だ。しかも動けない奴がいたりとかで結局逃げられたのは俺等を含めても10人位かな…」


「じゃあ、ここにはその時の逃げた人だけが集まって暮らしてるの?」



「いや、後からここの噂を聞いて来たやつもいる。あの施設が無くなろうが、組織はまだ生きている。
逃げ出したからって、それで終りじゃないんだ。」