その場を後にしようと振りかえった。



後に人がいた。この前の少年と、さっき見た女の人だった。

またしても、気付かなかった。しかも二度目だ。
いつの間にそこにいたのか…。

驚きの余り、心臓が飛び出るかと思った。
早く脈を打っているのが分かる。


「ここで何してるの?」

黒く長い髪。透き通った声をした綺麗な人だった。
しかし、彼同様、どこか不安げな声であった。

女の人の後ろにしがみつきながら、あの少年が僕をじっと見ていた。

「…えと…、ここの人なんですか?」

初対面の人対して、ここの人かと聞くのはどうだろう…。
余計なお世話だ。


言った後に後悔した。