ポツリとつぶいやいたその言葉がたまたま平助の耳に入る



「悪運って...
縁起の悪りぃこと言うなよ」



「縁起の悪い?

逆にいい事でしょ。
手柄が立てられるんだから、さ。」



そうだ。
もし、僕たちの方が当たりだったら、形勢は厳しいかもしれないが、それ以上に手柄を多く立てられるし、何より近藤さんの役にたてる



「もし、当たりだった時は僕に感謝してよね。」



ニヤリと骨格を上げてそう言うと
「こえっ〜っ。」
と言ってわざと身震いをして見せる平助



徐々に辺りは暗くなり、新選組の象徴とも言える浅葱色の羽織が世に映える



『...お守りです』


控えめに照れたようにそう言った彼女は、これから起こることを何処と無く感じ取っていたらしい



物にすがったり願ったり、迷信を信じない僕でもこの腕に縛られた布は取ることが出来なかった



逆にこの布にすがっていたい



君に触れていたい━━━━。