その日はまだ日が出ているというのに私は押し寄せる睡魔に勝てず、眠ってしまった



布団は凄く暖かく、安心感と虚奪還と言えばいいのだろうか。




全てが私を襲って、それに暖かい布団が着いてきたら勝てるものなどいない




夢の中では兄さんと私が昔のようにあの、今はもう廃墟と成り果てた家で過ごした日々と、兄さんが生きているというそんな、どうしようもない過去となったものを見た



寝ている私は泣いていたのだろうか。



次の日の朝、起きた時には頬が濡れていた




けど、寂しくて泣いたのではない。



悲しくて泣いたのではない。





ただ、嬉しくて。



夢の中か、もしくは現実かは分からないが、ずっと誰かが私を見てくれているようで...




泣いてしまったのだ




まだ、兄さんに『さよなら』なんて悲しい言葉を言えない



一人ほど寂しくて辛いものはない




だから、もう少しだけ兄さんに、兄さんという影に頼りたい



誰か私を見てくれる人が現れるまで。