少しホコリをかぶった廊下。



歩けば足袋が黒く汚れてしまうのが目に見えている



ともかく掃除をしなければ。
というか、意地でもしなければこっちが生活など出来ない




でも、その前にしたい事はある


それは清光様にお礼を言いたい



彼は何処にいるのだろうか?



「沖田様!」



私の手を掴み前を行く沖田様の裾をクイッと引っ張って無理矢理歩みを止める



「ん?

どうしたの?」




「私、お礼を言いたい方がいるのですが....」



清光様がいなければ私は今ここにいない



こんな風に沖田様と喋っている事などなかったのだ。



だから、彼に伝えたい



『ありがとう』


そんな素直な気持ちを━━━━。





「それは...誰だい?」


少し、憂いに満ちた表情を見せた沖田様
それと同時にキュゥと胸が何故が締め付けられた。


苦しくて、喉が締まるのに、そこからゆっくりと湧き上がる気持ち。


それは何か分からないが、兎に角にも、沖田様に彼の事を言わなければ彼にお礼を伝える事は出来ない



「....清光様です。」








「そ、っか!
なんだ、よかったよ。」



少し間の後、なんだ、なんだと憂いの表情は何処か、満面の笑みを浮かべる彼。