私が欲しいものはそんな兄の生きた証を綴った文などではない





兄自身なのだ。






「なんで...なんでよっ!!!」






文を濡らす私の涙




そのせいで滲む墨





私が泣き止んだ頃には文は読めるような状態ではなく、それ故に私は気づけなかった






文の最後に綴られた






彼からの最初の言葉





【貴女は大丈夫ですか?】





そんな短い一文を。