何度も何度も兄に問いた




だが、返事など帰ってくるはずもなく




残ったのは虚しさと一通の文のみ。






その文さえも書かれている文字は兄のものではなく、誰か他の知らぬものの字







【武久 慶(たけひさ けい)殿】





なんて軽薄な字だろう





いや、この文の主からしたらそんな事はないのだろうが、今の兄を亡くした私にとってはそんな風に受け取ってしまっても仕方が無い






つらつらと綴られた兄の戦いぶりと死に様について。







「こんなものっ...!!」






バシッとその場に文を叩きつければ怒りなど何処かへと消えてしまえばよかったのに