壬生寺は、案外すぐ行き着くことが出来た
なんというか、本当にあっさり。
もう少し、道に迷ったりするかと思ったのだが、聞く人聞く人がその場所を知っており、何不便なくそこに着くことは出来た
流石、京の寺だ
正面から見れば、作りはなんとも美しく、大人数が住むには狭いかもしれないが、不便のない場所でもある事が分かった
そんな壬生寺の門には二人の男が、槍を片手に立っている
確か、江戸に来た最後の返事の文では兄さんの妹とと言えば通してくれると書いていたはずだ
緊張はしたものの、彼の後ろ盾があると思えばそれも少し消えていく
「すいません、兄さん...、武久 清史郎の妹の武久 慶に御座います。」
ハキハキと申すと、見る見るうちに目が開く二人の門番。
「清史郎の妹かっ!
ああ、似ているっ!
あいつが帰ってきたみたいだ!」

