沢山湧いてくる思い出は私をここに引き止めるには十分なもので、気づけば数刻もの間、ただ一人で兄さんの墓に話しかけていた



「....じゃあ、行くね」



流石にこれ以上居てはいけないと思った私は兄さんの墓に別れを告げ、伊東様たちの所に戻ろうもした時である



「.....慶、」


「総司...」



思いも寄らない人との再会

まるで、誰かがわざとあわせたような、そんな再会。


私は彼を見れず下を向いて、ギュッと手を握る力を強くする

何か言わなきゃ、そう思っていても口が動いてくれない


その場には沈黙が流れて、それを破ったのは総司のほう


「慶...、お嫁に行くんだね。」



「......っ、」



「おめでとう..って心の底からいいたいんだけど。
ごめん、表面上でしか言えそうにないかな。」



なんで、私がお嫁に行くなんて知ってるのだろう。
なんで、総司はそんな悲しそうにわらうのだろう。




そんな行動とるなら、そんなこと言うなら...



「私を連れ去ってよ..」



「え..??」



しまった、と思って口を塞ぐけどその言葉はきっちりと総司の耳に届いてしまったらしい