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新選組を脱退して冬の厳しさがました頃である


「私が....長州に嫁ぐ?」



「ええ、そうよ。
貴女を気に入った方がいてねぇ。

これからの私たちの為にそうしてくれるわよね?」



この人は.....っ、


顔にも行動にもださないものの、身体の奥から湧き上がってきた嫌悪感



前々から、伊東様が長州や土佐、薩摩と繋がっていたことは承知していたが、その仲をより良くする為に私を使うとは想像すらしていなかった



返事は保留にしてもらい、伊東様の部屋をでて、裏庭まで来るとじわぁ、と涙がたまる感覚がした



「....結局、私は伊東様のいい道具じゃないっ。」



ギュウッ、と着物を握ってなんとか涙を堪えるが心が限界なのがよく分かった



どうせもうこの縁談は断れない



断ったところで、無理矢理にでもそうさせられるのがオチ。




仕方ない、仕方ないと受け止めないといけない




「武久..、」



「斎藤様...」



突然、声のする方を向けば一緒に伊東一派として新選組を抜けた斎藤様の姿がある