こんな言い方卑怯だな、って自分でも思うよ


だけど、君にはもう何も隠す必要なんでないじゃないか


隠そうが、隠さまいが君はもう僕に恐れしか抱いていないだろうからね




スッ、と手を伸ばし慶の頬に触れれば、彼女の表情から困惑していることが良く分かる




「そ、じ...」



慶の口から漏れるか細い声
そして、僕なんかよりずっと細い腕

彼女はこんなにもすぐに押し倒せてしまって、弱く、儚い。


だけど、彼女は自らの足で立ち、兄の死から立ち直ろうとしていた、強い子




僕は、なんて勘違いをしていたんだろう



【貴女は大丈夫ですか?】


清光として送った最初の文にそんな事を書いたが、彼女はどこまでも強い、僕なんかがいなくてもしっかりと生きていけたんだ




なのに、いつの間にか...僕が、彼女を




弱くしていた、傷つけてしまっていた




「....ごめん。」




謝罪の言葉とともに僕はそっと彼女の柔らかい唇に指で触れ、そして自分の唇をそっと合わせた