京.




「ここが...京。」




慶は、江戸からの長旅の末、やっとここ京についた



毎日、毎日、歩いてきたせいか、なんだか痩せてしまった気がする



だが、清光様に会えるのだ
それくらいなんてことはない

逆に、痩せてよかった。



そう思うのが女の性(さが)である






一昨日、泊まった宿で京の夜の一人歩きはするな。



そう言われ、昨晩はある京の町外れで、一晩泊まったのだが...




中心部がここまでの賑わいとは...




息を飲まずにはいられない




兄はここで、生きていたんだ。





瞳に薄い水の膜が張る





それが喜びのためか、悲しみのためかは分からない

けど、兄は確かにここで...生き、しんたのだ。



キュゥッ、と風呂敷を握る手が強くなる



今度は私がここで生きる番





見てて、兄さん。




先の事なんて分からないけど、私もここで生きてみるわ