そしたらさ、いきなり落ちてくる紅い雪が桜なんかに見えちゃって



まるで、清史郎が僕にサヨナラを告げているように見えた



「.....ごめん。」



小さく呟くとクジャァッ、と音を立てて二人の命の灯火(ともしび)に手をかけた



倒れた敵はもう、ほぼ清史郎の一撃で致命傷を負っていたんだろう


息はしてなかった



「......清史郎、」


だけど、彼は違った


ゼェゼェ、と苦しいそうに息をしながら俺に目をやる


「...はは。
泣く、なよ」


「....は?」


自分の頬に触れていれば確かに濡れていた


僕は...泣いているのか?



生まれて、物心付いた時からあまり泣く事はなかった


だから、泣いてる自分に驚愕しつつ、僕とは逆に笑っている清史郎の手を握る



「逝くなよっ..、」



無理な願いということは重々承知だが、それでもそう頼まずにはいられない



「ご、めん...

それは.....、無理..だっ」



どんどん清史郎は息を荒くして笑っていた顔も苦しそうに苦痛に歪める

俺は清史郎があの時、微笑まなければ殺さなかったのかな?



いや、それはない


俺は本質が人殺しだから、きっと..殺していたはずだ