腕を頭の上で縫い付けてしまえば慶は身動きが取れない



僕は慶に覆いかぶさるとそばに置いてあった愛刀、【加州清光】を手に取る

その一連の行動をただ震えて見ていた慶は殺されるのではないかと、涙を頬に伝わせる



「離してっ!!!

私は清光様の所にっ..!!!!」



まだ、強気で泣きながらでも、僕に対抗する慶

本当に、君たち兄妹はそっくりだよ
そう思うと、フッ、と同情にも近い笑みが零れた



「だから、慶はここにいていいんだよ

清光に会いたいんだろう?」



「どういう...意味..、」



慶は分かっているのに、分からないふりをするんだね

だったら、もう言って証明してあげれば諦めがつく?




「この僕の刀、【加州”清光”】って言うんだ

斬れ味もいいし、結構気に入ってる

ねえ、これで分かったでしょ?」



「う、そ....なんでっ..、」


今度はボロボロと涙を零す慶

その涙はまるで金平糖のように甘いんじゃないか、って思えた



「そうだよ、君が慕っていた清光様は



ボクダ。」




傷つけて、傷つけて、僕は君から離れてゆく



いや、もう君は兄を殺したのが僕だった時から遠くに離れていってしまってる




そして、今日君は完全に僕から離れて行った。


なら、せめて忘れないで



僕を、憎しみもいう形で覚えて



君の心の奥底に椅子わせてよ。