これで、彼等は稽古の時、地獄を見ることになるだろう。


それと、彼らの言うことには語弊がある


私たちは決して、決して恋仲ではない

そもそも、私は総司からの恋仲の申し出は断った



総司は新選組の一番組隊長。


女中の私とでは釣り合わなければ、居候の身でもある


だから、私が彼に追いつけるまでは、それは出来ない、そう言ったのだ



私がその事を彼に告げると

「慶らしい..

なら、その日まで僕は待つよ」

そう言ってゆるりと笑みを浮かべたのだ



だから、うん。


恋仲ではない...が、想いは同じではある



けど、永倉様や原田様には恋仲に見えてしまうのだろう



気をつけないと...、そうは想うが総司を見ると愛しさの歯止めが効かないのも事実である



現にこうやって、彼といる時間が確実に増えて行っているのだから




「けーい!

何、ぼーとしてるの?」


「あ...、ご、ごめんなさいっ、」


いつの間にか私の横まで来ていた総司はフニッ、と私の頬をつついてみせる



「永倉さんと、原田さんの事?」