あれから、少し時間が経ち、外は夜や迎え、明里さんもこの西本願寺から去って行った


また深く心に傷を負ったのは明里さんのみではなく、新選組の皆さんも、今夜は自室へとこもっては出てこない



そして、新選組の総長の切腹というものは、隊士達の心に強い絶対感を与えた



局中法度を破ったものは誰でも切腹、という絶対。



私は、文机に置いている山南様から借りていた最期の本を見つめてパラパラとめくってやるとパタンっ、と閉じる



こんな時、誰に相談するかと言ったらやっぱり清光様しかいない



サラサラと、思いのまま感じたままに文を綴ると隣にある総司の部屋の障子を開ける



「総司...あの、」



「...慶、か。

どうしたの?」



無理に笑顔を作る彼

その姿が妙に胸を締め付けられて、そして儚く感じてしまう



「清光様に文を....」


私がそこまで述べると”ああ”といって手を差し出す


そこに文を乗せる時に、彼の手が小さく、けど確実に震えていることが分かった



ああ、そうなんだ


総司も悲しくないはずなんて...



ないはずなのに。