私の声を遮って聞こえてくる掠れた声

それは紛れもなく、明里さんの声だ



続いて響いた乾いた音



「う、あ...敬、すけ..はんっ...」



総司の頬を叩いた明里さんはそのまま泣きながらその場に崩れ落ちてゆく


そんな明里さんに、私はかけられる言葉を持ち合わせておらず、ただ呆然とその光景を見つめることしかできない



総司のぼんやりと、悲しそうな瞳で明里さんを見る姿も、明里さんが感情を露わにして泣きじゃくる姿も、近い景色のはずなのに、まるで何千里もあるように遠くの、何処かの場所のお話しのように見えてしまう




それから明里さんはずっと、ずっと声を上げて泣いた



悲痛な彼女の叫びの声は私の胸に強く強く突き刺さる




突き刺さった針はその部位から侵食を初めて、パラパラと何かを落としてゆく



カシャン...、カシャン..、カシャン.


徐々に早く、そして大きく立てられる音




それが何故か、私には崩壊の音のように錯覚してしまうのだ