けど、それは本当に彼女の為になったのか...


こんな、最愛の人がすぐそばの部屋で命を経つ所を、彼女に見せるべきだったのか



伝えなければ...、




ふと、そんな考えが浮かぶが、きっとそれは違うのかもしれない



伝えなければ、明里さんは泣いてなかった?


伝えなければ、明里さんは今笑っていた?



違う、きっとそれは違うんだ


伝えなかったからとかじゃなくて...、私ならこういう時伝えて欲しい



真実を、誠を。

私は知りたい...



ふと、脳裏に浮かぶ兄さんの顔



『妹さんは、清史郎の最期知ってるの..か??』



初めてここに来た時、門番の一人にそう問われた。



まさか、まさかね。


そんな事...。



頭を横に振るようにまさかを打ち消す行動を見せると、ガラッと山南様の介錯されたであろう部屋から一人の人が出てくる



「そう、「あんたが...敬介はんを...?!!」」