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「敬介はんっ!!いややぁっ!!!



敬介はんっ━━━━」




山南様の、恋仲である明里さんの声が西本願寺に響き渡る




彼は、山南様はご自分の為への道を選んではくれなかった



一刻前、総司とともに西本願寺へと帰ってきた山南様は、何故がとても清々しい顔をしていらした



「ど、して...」



震える唇でそう問うと、彼はやはり穏やかな笑みで

「すみません。」


そう言ったのだ




「明里さん...行きましょう。」



泣きじゃくる明里さんの肩に手をおこうとするがそれを容易に払われしまう



「ここに...おる。」


「ですが..っ、」


「ええんや、お願いやからここにおさせとって。」


まだ明里さんの瞳から流れる涙は彼への想いを物語るようで、こんな時に不謹慎なのかもしれないがとても綺麗に思えた



「分かりました..。
なら、私もここに居ますね?」



永倉様の計らいで彼の最期に間に合うことが出来た明里さん