「山南様がいなくなった?」



「ああ!!
どこにもいねぇんだ!
慶ちゃんしらねぇか?!」



台所にかけてきたのは原田様、声も荒げて、寒い朝だというのに汗までかいている



「知りませんけど...」


別に、ふらっと散歩に出かけたのではないのだろうか


そもそも大の大人がいなくなったくらいでそんなに慌てるものなのか...



そんな疑問を持ちながらも、火をかけていた味噌汁もいったんやめて、私も山南様を探すことにする




稽古場、屯所の周り、彼が居そうな場所をあらかた探しはしたが、いない



誰かが探したかもしれないが、他に検討のつくところもなく、山南様の部屋へと足を運んでみる



「....総司?」



ススッー、と山南様の部屋の障子を開けて見たら、居たのは山南様ではなく総司で、手には何らかの紙を持っている



「山南様、やっぱりここにはいないですね。

じゃあ、他のところ...」



「山南さん....帰ってこないよ。」



「...え?」



「帰ってこないんだよ。

帰ってきたとしても....待ってるのは死だし。」



耳を疑う


彼の言っていることについてゆけない