私は気になって伸治にこっそり聞いてみた。
「ねぇ。お母さんに、連絡入れてたの?」
「あぁ。家出る前にな」
あっさりとそう返されてしまった。
えぇー!うそ!?聞いてないよー!
「連絡入れたら、『分かったわ♪』とか言って喜んでたし、お前に言わなくてもいいかなーって思ったんだけど」
「そうなんだ?よかったー…」
とりあえず嫌がられてないと知ってホッとする。
リビングに入ると、テーブルの周りにイスが4つ置いてあり、奥の席に伸治のお父さんとお母さんが座っていた。
私と伸治も手前の席に座った。
「え、えっと、このたび伸治…と婚約させていただきました」
私は緊張しながら報告をした。
「ご挨拶が遅くなりすみませんでした。今後とも、よろしくお願いします」

