まだ幼い俺の心は自分の気持ちばかりを優先し、見なければいけないことは何も見えていなかった。 振り返る事なく家のなかに入ると居間の扉が開いた。 「今日はお父さん早く帰ってくるから、帰ってきたらすぐにご飯にしましょう」 「わかった」 誕生日を祝ってくれる両親の前で俺は作り笑顔ばかり…… こうして祝ってくれる家族がいるだけで、ありがたいことなのにな。 三人で夕食を済ませ、お風呂からあがると、母さんが作ったケーキを食べた。