「んじゃ、わたしは姫にはならないに500円」



そう言ったわたしに、俺もやるの?と言いながらもフウは

「姫になるに1000円」


と言った。




「ねー、ランは?」




どっちにつく?と言いながらランの顔をのぞき込むように見るとうざったそうにランは目を細めた。




「やんなかったら負けねー」




と言うと、はぁ。とため息をこぼしてから、スマホから目をはなさず「明日までに姫になるに3000」とだけ言った。




「おー、随分自信あんね」



なんて言いながらニヤッと笑ったフウになど目もくれず、ランは運ばれてきたアルコールに口をつけた。



フウは小さく肩をすくめるとドリンクを受け取りゴクゴクと喉を鳴らして半分くらい飲むと、グラスをコトリと机の上に置いた。







徐々に夜が更けていく。


思わず緩んだ口を隠すように、カウンターに置かれたカシスオレンジを一口飲んだ。