真っ黒なソファーにドサッと腰掛けるとスマホを開いて時間を確認した。
只今の時刻21時33分


取り敢えず暇なので、誰が持ってきたのか知らないがいつの間にか置いてあった小さいテレビをつけた。


適当にチャンネルをまわしてしばらくは芸人のトーク番組を見ていたが、すぐにつまらなくなりテレビを切った。


ちらっと横目で人一人ぶん空いた先にいるフウをみた。
相変わらずスマホをいじっていてそれをやめる気配はない。


ためしに

「ひまだぁー」

と言ってみても返事をしてくれる人は誰もいない。


あまりにも暇なのでうえにでも行こうかとも思ったところでこの部屋のドアが開いた。



振り向くと、だるそうにドアにもたれかかっているランがいた。
ただもたれかかっているだけなのにランがやると様になる。



「いくぞ」



とそれだけ言うとランは踵を返して行ってしまった。



やっと暇から脱出できると笑みを浮かべるわたしと、「よっこらしょ」なんて言いながら重い腰を上げたフウがその後に続く。