Holy-Kiss~我が愛しき真夜中の女神達へ~【吸血鬼伝説】

「ウソよ……!
 兄さんは、誰よりも強いのよ!
 それに。
 ……それに……!
 絶対、必ず、帰って来るって……約束……
 ……してたのに……!」

 早苗は、俺の襟首をしっかり握っていた手をズルズルと放して。

 そして。

 そのまま崩れるように座り込んで嗚咽した。

 急に、小さくなった身体を丸めて、涙をとめどなく流す。

 ……気が抜けたか。

 今まで、女一人。

 何も無い焼け野原で。

 あんな男達相手に、身体を売って生きてきたのだろう。

 兄が。

 工藤が、帰って来るまでの間の辛抱だと、健気に生きてきたのだろう。

 ココロを打ち砕かれ、更に白々とした、裸身に。

 先ほどまで早苗が身にまとっていた布をかけてやろうと、近づいた時。

 ばらばらばらっと、今度は、さっきより大分小さな集団が、俺を取り囲んだ。

 今の今まで、ずっと部屋の片隅で怯えたように、固まっていた子供達だった。

 中でも、一番年かさの汚い坊主が、俺を睨んで、怒鳴る。

「姉貴をいじめたら、承知しないんだからな!」

「……いじめ?
 いじめたか?
 俺が?」