Holy-Kiss~我が愛しき真夜中の女神達へ~【吸血鬼伝説】

「……!
 お前……!
 工藤の……早苗か……!?」

 思わず叫んだ、俺を。

 女は、また睨んだ。

「何よ?
 アンタ良く調べたわね。
 それとも、兄さんを知っているの?」

「……南方で、一緒の部隊にいた……」

 その言葉に、女……早苗は、俺に飛びついた。

 両手で、俺の襟首を掴むように飛んで来たから。

 今まで、身にまとっていたポロ布が、はらはらと落ちて、その傷ついた白い裸身があらわになった。

「おい、裸が見える……」

「兄さんは!?」

 素肌になったのも構わずに、早苗は、俺に噛み付くように叫んだ。

「兄さんは、どこ!?」

 その、必死の様子に俺はただ。

 ……答えるしかなかった。

「……死んだ」

「ウソ!!」

「……南方の島で。
 本当に何も無い、地獄のような島で。
 俺に……その命を分けてくれたんだ……」

「ウソよ!」

「……だから、俺が、ここに来た。
 帰れない、工藤に代わって。
 ……工藤誠一郎の名前を引き継ぐかわりに、早苗という女を護れという約束だったから」