Holy-Kiss~我が愛しき真夜中の女神達へ~【吸血鬼伝説】

 

 うわわわわ~~~




 それこそ、雑巾を裂いたような。

 情けない、悲鳴 尾を引いて、男は、見事に飛んでゆく。


 ……どさっ




 ゴミためのような、がれきの中に、傷の男が着陸して、ようやく。

 他の男達は、我にかえったようだった。



 しかし。

「……貴様!」

「てめぇ!」

 口々に叫んで、飛びかかって来る男達をひょいひょい、とかわし。

 全員、力任せに投げ飛ばし終わるのに、そんなに時間は、かからなかった。

 ……たかが、ヒトが。

 俺とまともに戦(ヤ)って、勝てるはずがない……


 逃げていく男達を見送って。

 半分自嘲めいて微笑みながら、振り返ると。

 そこに、女が居た。

 俺が来る前に、既に、一人や二人くらいには、汚されてしまったらしく。

 キレイな顔の口の端に、殴られたあとを残し、素肌にボロ布をまとって、よろよろと俺に近づいて………言った。

「……出ていけ」

「……は?」

 思わぬ女のセリフを聞いて、俺は自分の耳を疑った。

「出ていけ……?
 それは、俺に言っているのか?」

 俺は、お前を助けたのに?