Holy-Kiss~我が愛しき真夜中の女神達へ~【吸血鬼伝説】

「ちっ。
 痕が残っちまったじゃねぇか。
 オレはキサマと違って、でりけぇと、なんだ。
 月の光だけでは、傷は治らないんだよ!」

 牙王は、鼻を鳴らした。

「でも、カユくもねぇな。
 残月サマよ。
 あきらめて、化けモノたちの住みかへ帰った方が、オリコウさんだぜ?
 力の差は歴然だ。
 キサマは弱ええよ!」

「黙れ!」

「こんな弱ええクセに、大物づらしやがって!
 ムカつくんだよ!!
 しかも……」

 牙王が喉をぐるぐると鳴らした。

「いつもは、化けモノたちの王サマで。
 あきたら人間に化けてお散歩か……?
 ざけんじゃねぇ!!!」



 ざりっ。



 牙王は、公園の砂を踏んで、俺に一歩近づいた。

「キサマがいなければ、ナ二も始まらなかったんだ。
 不老不死の薬がある、とか。
 なおらねぇ病気が治るとか。
 甘ぇ言葉にだまされて、何人の莫迦が、キサマのカケラを自分の体に埋め込んでバケモノに変わったと思うんだ……え?
 まぁ、オレは、誰よりも強ええカラダを貰ったから、キサマに文句はねぇけどよ」

 牙王は、早瀬を睨んで、吼えた。

「それでも、少し人間と姿が変わっただけなのに。
 オレはジマンの腕力を封じられ。
 ケチな仕事が来るまで、ずうっと地下深くに放って置かれたさ。
 ちょっと地上に出してやる、と言われて喜べば、こんな女の手先だと?
 ……莫迦にするのも、いい加減にしろ!!」