Holy-Kiss~我が愛しき真夜中の女神達へ~【吸血鬼伝説】

「空間同士をくっつけて、道を作る『吸血鬼の輪』は。
 輪っかになっているトコロだったら、どこにだって作れるハズだろうが。
 そこらに、適当に丸書いて、地上に作ればよかったのに。
 なんだって、こんな砂場の……砂の中なんぞに作りやがったんだ。
 おかげで、砂まみれになったぞ!
 イイ男が、台無しじゃねぇか」

「何事も、任務遂行のためです。
 ぼやいていないで、さっさと仕事をしてください」

 明らかにヒトとは違う形相をした、大きな異形に。

 早瀬は恐れることなく、ぴしゃりと言った。

「今日こそは、残月様を連れて、帰ります。
 残月様は、クロイツから出る際に、50人はいる警備員を全員、なぎ倒して行かれました。
 牙王の手に負えますか?」

「……可愛くねぇ、女だな。
 そのケイタイさえなければ、絶対お前を喰ってやるのに!
 このオレサマは。
 吸血鬼を越えた吸血鬼だぞ?。
 相手が誰だろうと負けるものか!」



 言って牙王は、げらげらと笑って俺の方を見た。




「……例え、相手がキサマ……
 始祖の吸血鬼、残月だろうともなぁ!!!
 初めて、会うな、クソ吸血鬼!
 オレは、キサマに言いてぇコトが山ほどあるんだ!!」