「あ……ん……
 ………止めないで……」

 鋭い「拒否」に。

 今まで、肌の手触りを楽しんでいた手を止めると、腕の中の女は、甘く抗議した。

「……もっと……
 ……して?
 ……触ってよ……残月……」

 女は。

 ……しばし『花連(かれん)』という自分の名前を忘れて、ただの娼婦に身を落とす。

 獣のように俺と後ろからつながった腰を妖しく振って。

 意識がそれた俺を誘った。

 ……俺が動くと、花連は、嬉しそうに啼く。

「あっ、あっ、あん……」




 ………やめてぇぇぇ……
 残月! 残月! 助けて……!


 ……!


 遠くの叫び声は。

 とても、落ち着いて聞いていられるような、シロモノじゃない。

 俺は、ため息をつくと、抱いている目の前の女から身体を離した。