しまった!

 と、思った時には、もう遅かった。

 俺は、側にいた凛花を抱くと、そのまま、窓ガラスを肩で割って、二階の窓から飛び出した。

 とたんに。





 どどどーん!!!!






 一瞬にして、アパートが一棟丸々吹き飛んだ。

 大地を揺るがすような轟音を立てて。

 凛花と二人、転がるようにして出てきた道から、上を眺めれば。

 今の今まで、俺たちの居た部屋も、あっと言うまに炎に包まれるのが見えた。

 満月の輝く夜空に、紅蓮の炎が吹き上がる。

 素早く起きて、気配を探れば……

 どこからか、突き刺すような視線を感じた。

 ……いる。

 敵が近くにいるのが判る。

 爆発直前に部屋から飛び出してきた俺を、怪しんで見ているのを感じた。

 奴らは、探しているのだ。

 彼らの元から去った吸血鬼を。

 ……この俺を。