「…何?」 焦りを悟られないように、冷静を装った声で聞き返す。 声は頑張れても、心臓の音はすごかった。 伊藤の言葉を待つ時間が長ければ長い程、心臓の音が大きく聞こえる。 …こんな動悸、初めてだ… 電話越しで顔が見えないから? 何だか、すごく嫌な予感がする。 静かな沈黙の後、伊藤が発した言葉は―… 「……オレ、成瀬先輩のパシリ…やめます。」 .