私という人間の大きさからすれば、五ミリ強の傷など、本当に小さなものでしかない。

しかし私は、剥けた皮の向こうから現れたピンクが、徐々に徐々に赤味を滲ませてくるので、動転した。

慌てて、手にしていたニンジンも置き去りに、救急箱を取りに走る。

赤い蓋、白い胴の箱を開けた時にはもう、私の指先には小さな、小さな、赤い水溜まりが幕を張っていた。