それは、夏休み間近の7月。
その日はちょうど父が出張でいなかった。
母は徹夜で会社に泊まり込み、親がいない事を幸いと姉は友達の家に外泊。
父が作ってくれた炒飯を温めて食べ、ただぼ~っとテレビを見てる最中だった。
突然、電話のベルが響いたのは。
変態電話が無くなり2ヶ月近く。何気なく出たあたしは、瞬時に後悔した。
しくしくしくしくと、ずっとすすり泣く声が続く。
それからどれだけ経っただろう。
ボソッ、と唸る様な声が聞こえた。
『……ゆりちゃん、どうして僕の気持ちを解ってくれないんだい? 僕はこんなに愛してるのに……警察なんかに僕たちの愛は邪魔させやしないよ! ねえ、ゆりちゃん! 僕は君のモノだよ。君だって僕のモノ……だけどねえ』
そこで、声色が変わった。
『たとえ父親でも君に触れるのは許さないよ~そんな不埒なヤツは生きる資格無いしね~』
殺すよ~と、低く低く囁かれ。あたしは咄嗟に聞き返した。
「お父さんを、どうするの!?」



