異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。




母は、あたしを信じるよりも姉を優先した。

その事はショックだったけど、納得もした。


(やっぱりお姉ちゃんの方がえらいんだ……あたしは。あたしさえ我慢すれば……いいんだよね)


姉を読者モデルにするまで、母も姉も頑張ってた。あたしは何もないし、努力もしてないから。一番になれないのは当たり前だよね。二番目でも三番目でも、我慢しなきゃ……。


「窓が空いててカーテンが煽られたから、そう見えちゃったのね」


母は窓の鍵をしめると、カーテンを閉じてあたしたちに注意を促した。


「最近、この近所で小学生の女の子ばかり狙った痴漢の噂があるの。いくら二階でも窓を開け広げたり、油断をしちゃダメよ」


違う。窓はちゃんと閉めてたよ。鍵だって掛けてた。なのに、どうして。どうやって入ってきたの!?


あたしはただただ茫然自失状態で、その場で立ち尽くしてたけど。それを気遣ってくれたのが、父だった。


「ゆず、おいで。父さんと一緒に寝よう。悪い夢なんてやっつけてやるからな」

その夜は父の傍らでぐっすり眠れた。