異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。




「ねえ。ライベルトとティオンは幼なじみなんでしょ?」

『……まあね』

ティオンにその話を振ってみたけど、どうにも反応が鈍い。いつもは頼まなくても勝手に喋り続けるのに。

「それじゃあ、昔の事を訊いていい? 2人はどんな事をして遊んだの? やっぱり探検ごっことか……秘密基地とか作ったりした? あたしは木登りや虫取りも得意だったな」

『君も?』

ティオンが意外そうな顔をした。お、いい傾向。幼い時夢中になって日暮れまで遊んだあの頃。毎日毎日キラキラして何もかもが宝石のような思い出。

あたしも8つであの事件に遭うまでは、ごくふつうに遊ぶ子どもだったんだもん。


きっと、誰にもひとつやふたつはあるはず。宝箱にしまう大切な楽しい時間の記憶が。


「うん。これでも駆けっこや木登りは男の子より得意だったんだよ! 虫取りだって、一番先に籠をいっぱいにしたのあたしなんだから」

『虫取りか。よく兄上やライベルト達とやっていたな』

「へえ。ね、どんな虫を取ってたの?」

初めて兄の事を聞いたあたしは、さりげなく話を深い方に持っていった。