水汲みの仕事をしながら、そういえばライベルトに初めて会ったのもここだったな……と思い出す。
まだ1ヶ月前だから、昨日のように覚えてる。
そうそう、あちらの厩(うまや)から来たんだよね。
厩はちょっと小高い場所にある。そこから眺めれば馬の放牧地が見渡せるよね。
ちょっと気になったあたしは、一気に丘を駆け上ってみた。
……すると。
なにか、声が聞こえてくる。
「……の……を……って」
「だ……と………ない……」
複数の、男性の声だ。
あとは……なんか聞き慣れた声が?
なんだろ?
なんでか……このまま聞いてちゃいけない気がした。
周囲と一体化のスキルを発現させたあたしは、木をつたいながらそちらへ近づく。
足音も風音に紛れてくれるはず。
やがて……見えてきたのは3人の男性の姿。
だけど。
気になったのは、厩舎を管理するハイドラーさんの青ざめた顔だった。



