確かにあたしには不思議な力があった。
ここ1ヶ月は領地の農作業サポートでめちゃくちゃ忙しい。
そりゃあ、困ってる人がいたら放っては置けないし。投宿してる以上、恩返しとして役に立つのはやぶさかじゃないけど。
「なんだかね。ここばっかりとか不公平じゃない?」
今もキラキラと輝く麦の穂を遠く眺めながら、あたしは不満を口にした。手にはマフィンを持ちながら。
『不公平?』
「そ。今のところティオンの領地ばっかり巡るローテーションでしょう。同じ様に恵みを分け与えるなら、国内各地を巡るべきだと思うんだよね」
はむはむとマフィンを頬張っていると、後ろから何やら聞こえてきた。
『ずいぶんと浅慮な話だな』
「っげほ!」
「ユズ、大丈夫? はい、お茶飲んで」
キキに渡されたティーカップを掴み、イッキ飲みするとようやく胸のつかえがとれた。涙目のまま、キッと彼を……ライベルトを睨む。
「浅慮? どこが」
『思いつきで物を言うところだ』
ライベルトは醒めた目であたしを見下ろした。



