ティオンが言ってたあたしの力は、植物の成長を早めたり実りを良くするもの。

そんな話到底信じられないし、信じたくもなかった。


だけど……。


何も起こらないと信じて蒔いたオレンジの種は、1日で立派な木に成長し、次の日にはたわわに実をならせた。


畑という畑がまだ芽の状態で祈れば、翌日には収穫出来る状態で。


オマケに、瀕死の病人にあたしが関わった作物を口にさせれば、翌日には全快していた。


セイレスティア王国は農業が主幹の産業。


それで、どうしてあたしが重要視されているのか、ようやく納得した。


戦争の爪痕から復興するには、まず産業を建て直す必要がある。だから農業に力を入れてはいたけど、ここのところ悪天候続きで、秋にはろくに収穫できなかった状態らしい。


最悪、飢饉が起きる恐れもある。


国外から輸入するにもお金が足りなくて出来ない。援助をあてにすると付け入る隙が出来てしまう。


というわけで、困り果てたティオンが自ら伝承にある姫を捜して……見つかったのがあたしってわけ。