『ユズ、おいで』
キラキラ王子さまが手を差しのべてきたけど、あたしが行くわけないでしょう。
イケメンのキラキラよりも、体を隠すのが優先だってば!
体に何の変化は無いから、昨夜は何もないと思うけど。とにかく、セクハラ王子から逃げるために服を探す。
「あ、あった……って! ぎゃああっ!」
気づいたら、いつの間にか後ろに来てたセクハラ王子さまに抱き抱えられ、ひょいっと肩に背負われたまま強制連行。
「ぎゃああああっ! 下ろせってばあ!!」
手足をばたつかせて抵抗してみたけど。
『そんなに暴れると、見えちゃうよ?』
サラリととんでもない事を言われ、体が固まった。
その隙をついたセクハラ王子は、あたしを窓際にまで連れていった。
「ひゃああっ!」
強い風が吹き付けてきて、髪が視界を覆う。柔らかい指先がそれを退けてくれた次の刹那。
あたしの目に飛び込んだのは、黄金色の海だった。



