異世界にて、王太子殿下にプロポーズされました。






……ああ、朝日がまぶしいですなあ。


思わず遠い目で現実逃避しかけたけど、村長と話すティオンの声で意識を現実に向けた。


「……それではほぼ出来上がっている訳ですか」

「はい。殿下のご支援のお陰で建物は間もなく完成致します。後は教員の確保ですが、首都で教師をされ引退された方がいますので、そちらに頼もうかと」


気づけばティオンとともにいたのは、木造のこじんまりとした建物の前。個人宅にしては大きい。


まじまじと見上げていると、建物のドアが開いてひょっこりと顔を出したのは、顔見知りの子ども達だった。


「わあっ! ユズ様だ」

「ユズ様!」


わっ! とあっという間に子ども達が集まり、両腕を取られるとそれぞれ引っ張られた。


「ユズ様! 僕らと遊ぼうよ。石蹴り上手くなったんだよ」

「ダメダメ! ユズ様はあたし達と紐飛びで遊ぶんだから」


左右同時に引っ張られて、イテテ! 痛いですってば!! 子どもとは言え力一杯だと侮れない。


巡回や視察に来る度に昔の遊びを教えて一緒に遊んでたから、すっかりなつかれたのはいいけど。 とにかく痛いってばよ! 腕がちぎれる!


「おお、ユズ様は流石ですな。子ども達とすっかり馴染んでらっしゃる」

「ええ。彼女はどこでも人気者ですよ。自慢の婚約者です」


こらああ! 村長とティオン。あんたら目を細めてほのぼのとした空気で見守る前に、あたしを助けるべきでしょうが!!


ぶちっ。


あたしの中で何かがキレた……かもしれない。