湯気の向こうのティオンの優しい笑顔が、熱い滴で白く滲んでぼやけていく。
緑茶の味と温かさは、彼の気持ちそのものだ。
故郷にも緑茶の産地が近くにあった。だから、緑茶はあたしの日常には欠かせない飲み物で。懐かしい故郷の味に、どうしても涙がこぼれ落ちるのを止められない。
「ユズ」
ティオンはティーカップを手に取ると、あたしの肩に手を回して抱き寄せる。その広い胸に顔を寄せ、彼はあたしの髪を優しく撫でてくれた。
「せめて、僕の前では素直に泣いていいんだ。僕は君の全てを受けとめたい……どんな君でも受け入れる覚悟はある。
君は僕を信じてくれると言った。だから、ユズ。僕も君を信じてるから……」
ティオンはあたしの額に優しく口づけると、ギュッと胸の中に抱きしめてくれる。その力強い腕の中で、あたしはこの世界に来てから初めて声を上げて泣いた。
「……もう大丈夫?」
「ん、ありがとう」
どれだけ泣いたか……
気がつけばすっかりお茶は冷めていて、まぶたが腫れぼったい。きっとすごい顔になってる……と急に恥ずかしくなって顔を伏せたままお礼を言った。
そんなあたしをクスリ、とティオンは笑って瞼にそっとキスをくれた。
「大丈夫、僕にとってユズはどんな顔でも世界一かわいいお姫様だよ。だから、恥ずかしがらなくてもいい」
……流石は筋金入りのセクハラ魔王さま。サラリと歯の浮くセリフをおっしゃいますが。
それとこれとは話が別ですから。



