別に同情を引く自分語りをしたい訳じゃないんだろう。ライベルトはあくまで淡々と、簡潔に事情を話すだけだった。
「当時起きた戦ではディアン帝国が負けたので、俺は体のいい人質みたいな形でこの国に来ましたけど。それでよかったと思います」
お喋りなティオンと違って寡黙な彼は、多くは語らない。けど、そのぶん表情や醸し出す空気で教えてくれる。
“みんなに出会えてよかった”――と。素直に想いを伝えてくれた。
その想いはあたしも同じだから、コクリと頷いて彼を見上げた。
「あたしも……出会えてよかったよ。キキもそうだけど、みんなが支えになってくれて嬉しいもの……ありがとう」
あたしは感謝の気持ちを込めて、傍らのキキに微笑むと彼女も優しく笑んでくれた。それからライベルトを見上げると、なぜか彼が顔をしかめたから。どうしたのかなと思って顔を近づける。
「ライベルト……どうかしたの?」
苦しげな顔をし目を逸らそうとした彼が心配になって、あたしはライベルトに訊ねたけど。彼は答えてくれない。
はぁ、と小さなため息がこぼれ落ち。ライベルトが何かを口にしようとした時。
「ユズ様」とキキの怯えたような声と、がしゃん、と硬く高い音が後ろから響き、驚いて振り向けば――そこには妙に冷たい笑みを浮かべた、茶器を手に持つティオンがいた。
「……逢い引きの最中にお邪魔だったかな?」
そう言ったティオンの顔は笑っていたものの、全ての感情を取り去ったような温かみのないもので。
彼は、まるで物を見るような無機質な目であたしを見てた。



